【研究方法】SDラット(300-350g)を用いて前方椎体間固定術モデルをHAインブラントにより作成しPRPの有効性を検討した。PRPの作成は、別個体のドナーラットより採取した新鮮血液より作成し、この際の副産物である(platelet-poor plasma:PPP)と生食による3群で検討した。 骨癒合の評価をレントゲン(術後45日と90日)と組織学的(術後90日)に行った。 実験1(HAブロック)(1)HAブロック+PRP(n=5)(2)HAブロック+PPP(n=5)(3)HAブロック+生食(n=5) 実験2(HA顆粒)(1)HA顆粒+PRP (n=5)(2)HA顆粒+PPP (n=5)(3)HA顆粒+生食(n=5) 【研究成果】実験1(HAブロック):ラット椎間板の大きさに合わせて作成したHAブロック(直径2mm、高さ1mmの円柱状の形態、気孔率50%)を用いた。術後45日のレントゲン撮影により全例HAブロックの脱転を認めたため、HAブロックによる検討は中止した。 実験2(HA顆粒):容易に細工ができる気孔率85%のHA顆粒を用い同様の実験を行った。術後45日のレントゲンでは、HA顆粒+PRP群、HA顆粒+PPP群でHA顆粒の吸収と仮骨形成を認めたが、HA顆粒+生食群では仮骨形成はなくHA顆粒の残存を認めた。術後90日のレントゲンでは、HA顆粒+PRP群において5例中4例で骨癒合を認めたが、HA顆粒+PPP群では5例中2例、HA顆粒+生食群では5例中1例でしか骨癒合を認めなかった。 術後90日に行った組織学的検討では骨癒合が確認できた標本においてHAの吸収および同部に骨新生を認めた。骨癒合が完成しなかった標本では偽関節になったもの、HAの吸収部に瘢痕形成が起こっているものなどを認めた。 HA顆粒+PRP群で骨癒合率が高いことから、PRPにはHAの吸収促進および骨新生促進に対する有効性があることが示唆された
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