研究概要 |
がん対策基本法の理念に基づき、骨転移の創薬へ向けた、骨転移特異的タンパク質のアミノ酸配列から逆翻訳による遺伝子の解析を行っている。 2004年、続発性悪性骨腫瘍だけに発現する特徴的な血液腫瘍マーカーを発見し、特許出願を行った【特願2004-282822, PCT JP 2005-018398】。 骨転移は、進行した"がん"や"肉腫"で生じるため、非常に頻度が高い疾患でどのような悪性腫瘍も骨に転移する可能性はあるが、中でも乳がん、前立腺がん、肺がん、腎がん、甲状腺がんなどは高い頻度で骨転移するが、現在、骨転移は、がんの進行期あるいは終末期であることを意味し、根治可能な治療薬もない。発見した血中骨転移バイオマーカーの有用性に関する科学的検証を行った結果、この骨転移特異的なタンパク質の特徴は、骨シンチグラフィーによる骨転移確定診断より早く血液中の値が上昇し、化学療法や放射線治療開始と共に減少するという臨床的に有用性を示した。がん骨転移の血中早期診断が可能となり、早期治療方法の開発を目的とした研究のために、骨転移特異的タンパク質の構造解析によるアミノ酸配列から逆翻訳で遺伝子の解析を実施している。2008年、アメリカへの特許出願を行った。近い将来、予防製剤による個別最適医療の開発に繋がり、その成果により国民に安心で安全ながん医療を提供できる。
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