我々が発見した「がん骨転移特異的バイオマーカー」は、PET-CT画像確定後、重粒子線治療との併用でがん骨転移を早期診断・治療が可能となったが、我々の当該研究の目的とするものは、骨転移特異的タンパク質を分子レベルで解明し、転移を誘発する原因を究明することで、この研究は骨転移予防製剤を構築する基盤研究となる。 生体内で不安定性を示すがん骨転移特異的バイオマーカータンパク質の発現遺伝子を確定することで、分子標的の高い治療剤開発を目的とするために逆翻訳によるゲノム解析を行っている。現在、再度、血液中に存在する骨転移特異的タンパク質を高精製し、アミノ酸構造から逆翻訳による遺伝子の解明をするとShine-Dalgarno sequence開始コドンの上流にプリンに富んだ配列を解読し、30Sサブユニットの主成分である16SリボソームRNA(rRNA)が、3'末端に相補的な配列を持つことから、タグを付け、一定のアミノ酸位置から逆翻訳によるゲノム配列を解析している。 ゲノム上の塩基配列には、非蛋白質コード領域が多数存在し、DNA複製の開始点として定義される複製起点とプロモーター、エンハンサー、サイレンサーといった遺伝子の発現を制御する領域が含まれることで、骨転移特異的タンパク質は、健常者には存在せず、がん骨転移特異的に血液中に存在するのか、また、原発がん摘出後も骨転移が発症することが考えられた。 今回、より明確な遺伝子発現を解明するために、がん組織から細胞に限定した焦点から骨転移特異的タンパク質のアミノ酸構造解析→遺伝子発現抑制領域→骨転移特異的タンパク質発現(確認)を見ながら、骨転移特異的タンパク質の正体とどこから発現するのかの解明をし、必ずやがん骨転移を撲滅してみせる。
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