研究課題/領域番号 |
19591749
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
平野 史倫 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60250552)
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研究分担者 |
牧野 雄一 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90345033)
岡本 健作 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80396879)
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キーワード | シグナル伝達 / 免疫学 / 核酸 / 臨床 / 発現制御 |
研究概要 |
本研究はRA患者滑膜炎におけるNF-κB活性化機序をIκBβ2の発現機構の観点から明らかにし、新規治療法を確立することを目的として、平成19年度から平成21年度の3年間で計画されている。本年度は、最終年度にあたり、IκBβ2による転写因子活性化制御機構の検討、について検討した。その結果、細胞内でユビキチンあるいは非ユビキチンで分解されにくく安定した蛋白として存在しているIκβ2蛋白は、炎症性転写因子NF-κBの活性化を効率的に抑制していること、さらにはNF-κBや核内ホルモン受容体である甲状腺ホルモン受容体の転写活性化部位を介して結合することによってコリプレッサーとして作用している可能性についても明らかにした。まず、細胞にIκBβ2発現プラスミドを導入し細胞内にIκBβ2を強制発現させて、各種刺激によるNF-κBの活性化をゲルシフト法と、NF-κBのDNA結合部位をタンデムに2個結合させた上でルシフェラーゼ遺伝子と融合したプラスミドを同時に導入したルシフェラーゼアッセイにて検討した。その際、IκBβ2作用の対照として、IκBαとIκBβ1発現プラスミドを使用した。細胞内に強制発現させたIκBα、IκBβ1、IκBβ2蛋白はそれぞれを認識する特異抗体および発現プラスミド作成時にプログラミングしたFLAGを認識する抗体を用いて検討した結果、いずれの抗体においても細胞内に発現していた。さらに、各種発現プラスミドを導入し蛋白を発現させたのちに炎症性サイトカインであるTNF-αあるいはIL-1βを作用させると、IκBαとIκBβ1発現プラスミドを導入した細胞はNF-κBの活性化が確認されたが、IκBβ2発現プラスミドを導入した細胞ではNF-κBの活性化が認められなかった。また、このIκBβ2蛋白は、yeast two-hybrid法および特異的免疫沈降法にて細胞内でNF-κBのp65および甲状腺ホルモン受容体に結合していること、および甲状腺ホルモン受容体が結合するDNA結合配列を用いたルシフェラーゼアッセイにおいても、IκBβ2は甲状腺ホルモン受容体によるルシフェラーゼ活性を低下させることを明らかにした。
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