研究課題/領域番号 |
19591757
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西井 孝 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (70304061)
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研究分担者 |
佐藤 嘉信 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70243219)
菅野 伸彦 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70273620)
坂井 孝司 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (00444539)
田中 壽 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40294087)
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キーワード | 変形性関節症 / MRI / 機能的イメージング / 関節軟骨 |
研究概要 |
関節障害を有する患者の早期関節軟骨障害に対する、感度と再現性に優れた関節軟骨内部質的評価の非侵襲的評価技術として、高磁場MRI装置を用いた軟骨機能イメージングに関する以下の基礎的・臨床的研究をおこなった。 1)機能的メージング(荷重シミュレーション下f-MRI)の生理学的機序解明のための基礎的研究 荷重状態下でのMRIでの関節軟骨評価パラメータの変動に関する生理学的機序を解明するため、3テスラMRIに適合した豚摘出膝用の荷重デバイスを非金属性素材で開発した。さらに、荷重負荷に対する関節軟骨の詳細な反応性変化を評価するため、軟骨T2マッピング用解析ソフトを開発した。豚摘出膝に、非荷重、0.6N荷重負荷、関節内反位圧迫(内側に0.9N負荷)状態でのT2マッピング解析をおこなった。関節軟骨内側中間層では0.6N荷重により10%のT2時間減少、さらに関節内反位圧迫により25%のT2時間減少が認められたのに対し、深層・浅層ではT2時間減少は軽度であった。荷重状態下でのMRIでの関節軟骨T2パラメータは、荷重に対する関節軟骨の詳細な生理学的反応の解析および関節軟骨の力学環境評価法として有用であることが示された。 2)機能的メージングを用いた関節障害の力学環境評価に関する臨床研究(荷重シュミレーション下評価の有用性の検討) 下肢圧迫デバイスを用いたLoading in situ MRI (Lis MRI)による股関節T2マッピングが、荷重状態での軟骨内基質変化を反映した力学環境の指標となりうるかを臨床例で評価した。股関節障害のないボランティア6例(ボ群)と臼蓋形成不全を有する初期関節症患者3例(患者群)に対し、3テスラMRIを用い、非圧迫状態と下肢圧迫デバイスによる体重50%の圧迫状態で、脂肪抑制下multi-echo spin echo法にて中央冠状面でT2マッピングをおこなった。圧迫負荷にともない、臼蓋/骨頭軟骨荷重部ROIのT2値変化はボ群-0.6%/-4.2%、患者群-14.0%/-5.2%で、臼蓋軟骨に患者群で有意に大きなT2値減少が認められた(p=0.02)。患者群で圧迫による臼蓋軟骨のT2時間の強い減少傾向は、同部での荷重集中により軟骨内水分量の減少やコラーゲン構築の変化が大きいことを反映していると推察される。Lis MRIによるT2マッピングは関節内力学環境の定量的評価に有用である可能性が示唆された。
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