関節軟骨変性の評価として、造影MRIによる方法を行ったが、今年度は新たに非造影によるシーケンスを設定した。非造影では造影剤使用による侵襲を回避でき、より現実的である。まず、ファントムを用いてシーケンスの設定をおこなった。その後、倫理委員会の承認をうけ、健常者の撮像をおこなった。さらにシーケンスの調整を行い、再現性のよい画像が得られ、臨床的にも妥当な画像であった。約8名の健常者を撮像し、さらに関節炎患者での撮像を開始した。軟骨変性部では明らかに信号強度が変化しており、人工関節置換時に得られた関節軟骨の状態と画像を対比してその妥当性を検討しているところである。さらには軟骨より基質を抽出して、定量しようと試みている。 また、分子生物学的検討も行い、変性関節軟骨での基質分解酵素の発現とそれをコントロールする因子の検討を行った。MMP13の発現を調節する因子としてC/EBPを同定し、その作用機序を解析した。C/EBPは変性軟骨部において発現しており、MMP13の発現部位とも一致した。C/EBPの強制発現によって、MMP13のプロモーターが活性化し、MMP13のmRNAや蛋白も発現が亢進した。MMP13のプロモーターにおいて、C/EBP結合領域に変異を組み込むと、プロモーター活性が低下した。本研究結果はArthritis Rheumatism誌に発表した。現在、さらに他の基質分解酵素についても解析をすすめているところである。滑膜細胞においても同様に発現が認められる。
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