新たに非造影MRIによる軟骨基質評価の方法としてT1ローマッピングのシーケンスを確立し、倫理委員会の承認を得た後に、変形性膝関節症患者の撮像を行った。人工膝関節置換術の際に得られた軟骨標本から、その肉眼的軟骨変性のスコアリングと得られたMRI画像上でのT1ロー値との間に相関があり、重症度をよく反映することが明らかとなった。さらに組織標本を詳細に検討し、軟骨基質の組織学的変性も反映していることが明らかとなり、この方法の妥当性が示された。この方法を用いれば、変形性関節症の早期の軟骨変性を非侵襲的に撮像することができ、新たな臨床評価法として利用可能である。 また、同時に研究を行っていた軟骨変性の分子生物学的検討については、MMP3の発現に関わる重要な転写因子C/EBPを見いだし、その機能を解析した。関節炎における軟骨変性の早期変化にかかわる重要なシグナルであることが示された。
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