研究概要 |
VEGF(血管新生因子)およびその受容体が変形性関節症(OA)軟骨に発現していることが報告されている。さらにVEGF165と同じニューロピリン-1を受容体にもつ神経反発意思セマフォリン3AがVEGF165と競合的に作用することがneural progenitorで証明されたことから、正常関節軟骨は本来無血管であるはずであるのに変形性関節症の進行に伴い血管が進入することにセマフォリン3Aが関与して以内を検討することを目的とした。 正常軟骨と変形性関節症(OA)軟骨からRNAを抽出しTR-PCR法を用いてmRNAの発現を、組織切片を作製し特異的抗体を用いた免疫染色により蛋白質レベルの発現をVEGF,セマフォリン3A,ニューロピリン-1、VEGF-R1、VEGF-2,プレキシンA1について調べた。VEGF,セマフォリン3AはmRNAレベルでは、正常・OA軟骨ともに発現を認めた。ニューロピリン-1のmRNAは正常軟骨では発現していないが、OA軟骨にて発現を認めた。ニューロピリン-1のco-receptorであるプレキシンA1の発現は正常・OAともに発現を認めた。 関節軟骨細胞に対するセマフォリン3Aの直接作用を調べるために、関節軟骨から軟骨細胞を単離し単層培養した軟骨細胞に対して、アポトーシス誘導や形態変化は認めなかった。軟骨細胞のmigrationに対する効果については、セマフォリン3A単独投与では、影響はなかったが、VEGFで刺激することにより増強したmigrationをセマフォリン3Aか容量依存性に抑制することがscratch test,Boyden chamberを用いたmigration assayにより判明した。さらにセマフォリン3A阻害剤(SM-216289:Xanthofulvin)によりセマフォリン3Aを阻害すると、VEGFにより亢進した軟骨細胞のmigrationがより増強することが明らかになった。
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