研究概要 |
変形性関節軟骨および正常関節軟骨において、神経反発因子セマフォリン3A(Sema3A)が発現していることをmRNAおよび蛋白質レベルで証明した。Sema3Aの受容体であるニューロピリン1のリガンドである血管新生因子(VEGF)も同様に発現をin vivoで確認した。さらに培養軟骨細胞を用いた実験でVEGFにより促進された軟骨細胞の遊走能がSema3Aにより容量依存性に抑制されることを明らかにした。スクラッチテストでの遊走した面積およびBoyden chamberにおける遊走細胞数によって定量化を行った。遊走能の抑制効果は、Sema3A阻害剤およびRNAiにより減弱された。培養軟骨細胞の培養上清のWestern blotによるとSema3Aは40〜50kbpの大きさであり産生された大きさからプロセシングを受けていることが明らかになった。このSema3AのプロセシングをMMP-1,2,3,7,13が起こし得ることを明らかにしたが、最も寄与しているMMPが何であるかは今後のさらなる研究が必要である。 本研究は、関節軟骨に神経反発因子が存在していることをはじめて明らかにし、VEGFとの競合的作用があることを示し、正常軟骨における無血管性の維持、変形性関節症軟骨における軟骨変性・修復に関与している可能性が示唆された。
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