研究概要 |
MMP-13はII型コラーゲンを分解することが知られているが、変形性関節症(OA)や関節リウマチ(RA)の関節破壊における役割の詳細は明らかでない。関節破壊における本酵素の役割を解明する目的で,MMP-13欠損マウス(MMP-13KO)を用いてOAモデルおよび関節炎モデルの解析をおこなった.また,炎症性細胞の遊走・浸潤に関与する膜型ケモカインに対するMMP-13の切断活性を解析した.8週齡・雄のMMP-13KOマウスおよび同胞野生型マウス(WT)を用いた.MMとMCLの切除・切離により誘導したOAモデルでは,WT,MMP-13KOともに術後14週,術後28週と経時的に関節軟骨の破壊を認めたが,有意差は認めなかった.関節炎モデルは,抗II型コラーゲン抗体カクテルの腹腔内投与により関節炎を惹起させた.MM-13KOではWTに比べて亜急性期における関節炎スコアが有意に低く,組織所見で滑膜増生と骨軟骨破壊が抑制されていた.また,細胞膜結合型のケモカインであるCXCL16およびCX3CL1の細胞外領域にalkalinephosphataseを結合させた融合蛋白を用いた解析で,MMP-13が両者に対して切断活性を有していることが示された.MMP-13の欠損は,OAモデルにおける軟骨破壊には影響を及ぼさないが,関節炎モデルにおける滑膜炎および骨軟骨破壊の発症を抑制することが明らかになった.関節炎の病態形成において,MMP-13は軟骨基質を分解するだけでなく、膜型ケモカインのsheddingによって炎症性シグナルを誘導する機序が考えられ、MMP-13はRA治療の重要な標的分子となる可能性が示された
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