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2008 年度 実績報告書

炎症性骨・軟骨破壊に対するMMPの役割

研究課題

研究課題/領域番号 19591764
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

高石 官成  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60236180)

キーワード外科 / 再生医学 / 細胞・組織 / 発現制御 / トランスレーショナルリサーチ
研究概要

軟骨マトリックスを分解する主要酵素であるMMP-13は、関節リウマチや変形性関節症(OA)などの病態における軟骨破壊への関与が指摘されているが、その標的となる生体活性分子や下流で作動するシグナル経路の詳細は明らかにされていない。われわれ
が作製したMMP-13欠損マウス(KO)は野生型マウス(WT)と比べて、機械的ストレスによるOAモデルの誘導には差を認めなかったが、II型コラーゲン抗体カクテルを投与し関節炎を惹起すると、KOでは亜急性期における関節炎スコアが有意に低く、ミエロイド系細胞の集積が減少し、滑膜増生と骨軟骨破壊が抑制されていた。また生理的な表現型としてKOは加齢とともに骨硬化症となるが、増加した骨量はOVXによる高代謝回転誘導に抵抗性であった。骨形態計測では骨形成パラメータに差を認めなかったが、KOでは骨吸収面が有意に減少し、結果として二次海綿骨量が明らかに増加していた。また、KO由来の骨芽細胞との共存培養で誘導される破骨細胞は小型で大きく広がらず、象牙質切片上での吸収窩形成活性が低下していた。さらに、KOの骨硬化症はWT由来の全骨髄移植によってレスキューされたが、致死量の放射線を照射したWT骨髄の造血微少環境はKO由来の全骨髄移植によって改善されなかった。そこで、MMP-9欠損マウスと交配しMMP-9・MMP-13ダブルKOを作製すると、胎生期肢芽への血管侵入の障害と肥大軟骨細胞層の延長が相乗的に増強され、一次骨化形成後は海綿骨骨梁によって骨髄腔が閉鎖し、四肢短縮型の骨硬化症を呈した。以上の結果から、MMP-13遺伝子の欠損によって、炎症環境下での骨髄由来ミエロイド系細胞の動員、および内軟骨性骨化過程において末梢を循環する造血系前駆細胞のホーミングに障害が生じることが考えられ、MMP-13は関節炎局所および軟骨性骨原基における走化性因子を活性化する役割をもつ可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] PIAS3 negatively regulates RANKL-mediated osteoclastogenesis directly in osteoclast precursors and indirectlyvia osteoblasts.2009

    • 著者名/発表者名
      Hikata T, Takaishi H, et . al., 14名中2番目
    • 雑誌名

      Blood 113 (10)

      ページ: 2202-2212

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Conditional inactivation of TACE by a Sox9 promoter leads to osteoporosis and increased granulopoiesis via dysregulation of IL-17 and G-CSF.2009

    • 著者名/発表者名
      Horiuchi K, Kimura T, ., et. al., 11名中6番目
    • 雑誌名

      J Immunol 182 (4)

      ページ: 2093-2101

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Growth suppression and apoptosis induction in synovial sarcoma cell lines by a novel NF-kappaB inhibitor, dehydroxymethylepoxyquinomicin (DHMEQ).2008

    • 著者名/発表者名
      Horiuchi K, Morioka H, et., al., 13名中9番目
    • 雑誌名

      Cancer Lett 272

      ページ: 336-344

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Joint diseases and matrix metalloproteinases : a role for MMP-13.2008

    • 著者名/発表者名
      Takaishi H, Kimura T, Dalal S, Okada Y, D'Armiento J.
    • 雑誌名

      Curr Pharm Biotechnol. 9

      ページ: 47-54

    • 査読あり
  • [学会発表] 卵巣摘出ラットにおける椎間板変性機序の解析(第2報)ERaを介したII型コラーゲン遺伝子の転写制御について2008

    • 著者名/発表者名
      加藤 雅敬
    • 学会等名
      第23回 日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2008-10-24
  • [学会発表] STAT1ノックアウトマウスでは骨折後の膜性骨化と仮骨リモデリングが亢進する2008

    • 著者名/発表者名
      田島 康介
    • 学会等名
      第23回 日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2008-10-24
  • [学会発表] MEK5-ERK5経路はRANKL依存性の破骨細胞分化を制御する2008

    • 著者名/発表者名
      内川 伸一
    • 学会等名
      第23回 日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2008-10-24
  • [学会発表] IL-27/WSX-1シグナルはLPS刺激によって誘導され、RANKL依存性の破骨細胞形成をSTAT1の活性化を介して抑制する2008

    • 著者名/発表者名
      古川 満
    • 学会等名
      第23回 日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2008-10-24
  • [学会発表] トランスジェニツクマウスは破骨細胞の分化障害により骨量増加を示す2008

    • 著者名/発表者名
      日方 智宏
    • 学会等名
      第23回 日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2008-10-24
  • [学会発表] マトリツクスメタロプロテアーゼー13(MMP-13)欠損マウスでは巣状糸球体硬化症の発症が抑制される2008

    • 著者名/発表者名
      坂巻 裕介
    • 学会等名
      第51回 日本腎臓学会学術総会
    • 発表場所
      福岡国際会館
    • 年月日
      2008-05-31

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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