研究概要 |
関節リウマチ(RA)の治療に対して骨関節破壊の抑制あるいは改善効果のある生物学的製剤が使用されている。そのエビデンスは手足のレントゲン上、骨びらんや関節裂隙の狭小化の改善として評価されている。しかし実際には生物学的製剤により引き起こされる骨や滑膜についての組織学的エビデンスはない。本研究において生物学的製剤により骨髄組織に変化があるか否かについて解析した。生物学的製剤インフリキシマブ使用中、人工膝関節置換術時に採取した10例、平均年齢65.3歳、平均MTX4.8mg/week、平均ステロイド量3.8mg/dayとコントロール群としてインフリキシマブ非使用中の骨組織10例、平均年齢67.6歳、平均MTX5.2mg/week、平均ステロイド量4.0mg/dayのH.E.染色およびtumor necrosis factor-α(TNF-α),intedeukin-6(IL-6)、receptor activator of nuclear(kappa)B ligand(RANKL)、osteoprotegerin(OPG)、osteopontin(OPN)の免疫染色を検討した。その結果、インフリキシマブ使用中の骨組織において骨髄中に、細胞成分に富む隔壁の肥厚を発見し、これをthickness of interstitial selptum(TIS)と名づけ、TNF-α,IL-6、RANKL、OPG、OPN陽性細胞をコントロール群と比較してすべてに有意な増加を認めた。エタネルセプトおよびトシリズマブにおいてはTISを確認できなかった。しかしながらトシリズマブにおいてOPGが陽性に染色され骨芽細胞の活性化に関与している可能性が考えられた。
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