研究概要 |
(目的)エストロゲン欠乏を主因とする閉経後骨粗鬆症が高脂質食の摂取により増悪するか否か,更に骨形成を促進する副甲状腺ホルモン(PTH)の間歇投与は骨粗霧状態を改善するか否か明らかにすること。 (これまでの研究)8週齢,雌性マウスに卵巣摘除(卵巣摘除マウス)および偽手術(偽手術マウス)を行い通常食と高脂質食を6週間投与した後7週目(15週齢)から卵巣摘除+通常食,卵巣摘除+高脂質食,卵巣摘除+高脂質食+PTH,偽手術+通常食,偽手術+高脂質食,偽手術+高脂質食+PTHの6群を作成した。実験開始より2週間毎に全身麻酔下に体重測定と腰椎の骨密度測定をおこない,実験開始17週目(25週齢)で24時間尿,血液,右大腿骨,両脛骨,腰椎を摘出し左大腿骨からは骨髄細胞を採取した。なお,摂食量は各個体で差がでないよう調整し,PTHは50、g/kgを週3回投与した。 (結果)実験終了時の体重,増加量は群間に差がみられなかった。腰椎骨密度の測定では卵巣摘除+通常食で減少し卵巣摘除+高脂質食群では低下が防止された。左大腿骨骨髄細胞の観察では卵巣摘除によるB細胞の幼弱化が高脂質食の投与により防止された。PTHの投与でB細胞の幼弱化を防止しなかったが腰椎骨密度が増加いた。 (考察)エストロゲン欠乏による骨代謝の亢進はB細胞の幼弱化が関与していると報告されている。コレステn-ルは卵巣外でエストロゲン様作用のあるエストリルに変換されB細胞の幼弱化を防止した。PTHはB細胞を介さず骨密度を増加させた。(20年度の研究予定)24時間尿および血液で骨形成、骨吸収のマーカー測定と,摘出骨の形態計測により破骨細胞性骨吸収と骨芽細胞性骨形成を行い,全身および局所における骨代謝状態を評価する。骨における破骨細胞および骨芽細胞の分化に関連する遺伝子発現を調べ,エストロゲン欠乏,高脂質食,PTHの投与が骨代謝をどうのように調整しているか,細胞、遺伝子レベルで明らかにする。
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