研究課題
脂質代謝異常が血圧や糖代謝異常の原因であるが、骨代謝への影響は明らかではない。今研究の目的は卵巣摘除(OVX)した閉経後骨粗鬆症モデルマウスに高脂質食を投与しエストロゲン欠乏状態では高脂質食がどのように骨量を減少させるか、副甲状腺ホルモン(PTH)の間歇投与が有効であるか否かを明らかにすることである。方法)7週齢雌性マウスを偽手術+標準食群、卵巣摘除+標準食群、偽手術+高脂質食群、卵巣摘除+高脂質食群、偽手術+高脂質食+PTH投与群、卵巣摘除+高脂質食+PTH投与群の6群にわけ8週齢で手術を施行、6週後(15週齢)よりPTH投与開始、さらに6週間の飼育の後21週齢で屠殺し検体を摘出した。経過中は食餌量の調節をおこなった。また、2週間毎に全身麻酔下の腰椎骨塩量測定をおこなった。20年度研究の結果)19年度までの研究結果より卵巣摘除に高脂質食を投与することで腰椎BMDが著明に低下しPTHの投与は低下を防止していることが分かった。そこで脛骨近位端の組織切片を観察したところ卵巣摘除+高脂質食により著明な骨形成の低下による骨梁の減少がみられた。偽手術をおこなったマウスではPTHの骨形成増加効果が明らかであったものの、卵巣摘除をおこなったマウスでは骨形成に有意な増加がみられなかった。結論)卵巣摘除マウスに高脂質食を投与したマウスでは骨形成の低下による骨量減少が顕著になり、PTHの投与効果が部分的になる可能性がある。今後の課題)高脂質食が骨芽細胞の増殖、活動性の低下させPTHの投与効果を抑制するか明らかにする。現在進行中の実験)さらに偽手術+高脂質食+PTH投与群、卵巣摘除+高脂質食+PTH投与群の2群を追加し8群で再度実験をおこなっている。21年度研究)現在進行中のマウスから検体を摘出し骨形成に関与する遺伝子発現をRT-PCRおよびin situ hybridizationで明らかにする。
すべて 2008
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