研究の目的)卵巣摘除(OVX)マウスに対する高脂質食投与による骨形成の低下と骨吸収の亢進には脳内ペプチドおよび末梢における神経伝達物質が関与するか否かを明らかにすること 研究方法(1))OVXマウスに対し高脂質食を6週間投与し脳を摘出。脳内ペプチドmRNAのin situ hybidizationをおこなう(1) 偽手術(sham)マウス+標準食(2) OVXマウス+標準食(3) shamマウス+高脂質食(4) OVXマウス+高脂質食 8週齢マウスにOVXもしくはsham手術を施行し同時に食餌負荷を開始し15週齢で屠殺。骨の摘出と脳の摘出をおこなう。骨は形態計測と骨髄接着基質細胞のmRNA発現研究に用い脳では脳内ペプチドの発現を調べる 結果(1))骨では骨量の低下がみられた。osteocalcin mRNAはOVXの2群で低下。OVXマウス+高脂質食によりColla1mRNAは低下傾向とTRACPおよびRANKLの増加傾向を認めた。また、脳内では高脂質食によりNeuropeptideY (NPY)の増加がみられた。 研究方法(2))OVXマウスに対し高脂質食を12週間投与し骨を摘出。骨髄接着基質細胞からmRNAを抽出しマイクロアレイを施行する。試験群は上記(1)~(4)。同様の手術と12週間の食事負荷をおこない21週齢で屠殺。骨を摘出し骨髄接着基質細胞のmRNAを用いてマイクロアレイをおこなう。 結果(2))末梢の骨髄接着基質細胞ではdopamine receptorの上昇とnoggingの上昇がみられた。 OVXマウスに対する高脂質食投与により脳内ではNPY発現が亢進しdopamine活動性が上昇するため、末梢においてnoggingを介して骨形成が抑制され骨吸収が亢進し、骨量が低下すると考察される。
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