研究概要 |
目的:ニューロステロイドは急性ストレス時に生じる鎮痛機構に関与している可能性がある。そこで今回、このホルモンが特別なストレスがない通常の状態においても鎮痛機構を稼動させることができるかを調査し、急性痛一般の治療に応用可能かどうかを検討した。また、その作用に古典的ステロイドの量が影響するかどうかも同時に調査した。 方法:過去に行われたニューロステロイドの鎮痛反応の実験(Nadeson R. et al. Pain2000, 88:31-39)を追試するとともに、ニューロステロイドとコルチコステロンの同時投与あるいは副腎破壊前処置の影響を調べた。 9週齢雄のSprague-Dawleyラットを対照群、ニューロステロイド(アロプレグナノロン)投与群、副腎破壊群、副腎破壊+ニューロステロイド投与群、コルチコステロン投与群、ニューロステロイド+コルチコステロン投与群に分けた。それぞれ投与30分後から5分毎に尾に対する電気刺激と熱刺激に対する反応を10回測定した。 結果:熱刺激には反応しなかったが、アロプレグナノロン12mg/kgの腹腔内投与は電気刺激に対する反応速度を延長した。副腎皮質ホルモンの同時投与および副腎破壊前処置の影響は少なかった。 ストレスのない状態でもアロプレグナノロンの投与は鎮痛作用を示したが、この作用における副腎皮質ホルモン増減の影響は少なかった。
|