研究概要 |
敗血症は感染に合併する全身性炎症反応を特徴とし,周術期に高い死亡率を示す病態である。この敗血症病態では,上室性頻拍や心房細動などの不整脈がしばしば観察されるが,その発生機序や治療については現在も不明な点が多く,抗不整脈薬の選択指針も不明瞭である。 今年度,我々は以下の点について明らかにした。1:大腸菌リポポリサッカライドのモルモット腹腔内投与により敗血症モデルを作成した。 2:敗血症モデルの心房筋単離細胞において活動電位持続時間の短縮を観察した。 3:電位依存性L型カルシウムチャネルの抑制を観察した。 4:さらにカルシウムチャネルサブユニット構成タシパク発現の抑制を観察した。 5:バックグランドカリウム電流の増大を観察した。 以上より,敗血症病態においてはカルシウム電流の抑制および再分極時のカリウム電流が増大することにより,活動電位持続時間の短縮が起こり,不応期の短縮により頻脈性不整脈が発生しやすい環境にあることが明らかとなった。
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