研究概要 |
本実験に先立ち、ウサギに使用する適正な麻酔深度となるプロポフォールの量を、脳波モニターであるBispectral indexを用いて、0.6mg/kg/minの持続静注と決定した。ウサギをプロポフォールの持続静注で麻酔し、頭頂部にクラニアルウインドウを作成した。脳虚血・再灌流は、右腕頭動脈、右総頸動脈、右鎖骨下動脈を15分間遮断と遮断解除することで作成した。虚血前に15分間10^<-6>mol/Lのクロマカリム、デクスメデトミジン、ローキナーゼ阻害薬をクラニアルウインドウに投与し、その前後で脳血管径を測定した。虚血前にクロマカリム、デクスメデトミジン、ローキナーゼ阻害薬を中止し、虚血を作成して、10分後に脳血管径を測定した。再灌流後は、5, 10, 20, 40, 60, 80, 100, 120分後に脳血管径を測定した。クロマカリムにより脳血管は拡張した。デクスメデトミジンでは脳血管は若干の収縮を認めた。ローキナーゼ阻害薬では脳血管は有意な拡張や収縮を示さなかった。虚血後の脳血管は一過性の拡張の後収縮傾向を示したが、各薬剤間の違いについては現在解析中である。クロマカリム、デクスメデトミジン、ローキナーゼ阻害薬を投与しない、プロポフォール麻酔だけでの虚血・再灌流では、33%に虚血関連の合併症である脳梗塞や肺水腫を認めたが、クロマカリム、デクスメデトミジン、ローキナーゼ阻害薬を前投与することでそれらの合併症は認められず、クロマカリム、デクスメデトミジン、ローキナーゼ阻害薬は脳虚血・再灌流前の投与薬として有用であることが示唆された。
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