研究概要 |
線条体におけるin vivoマイクロダイアリシス法による脳内一酸化窒素(NO)代謝産物測定の技術を確立し,0.1pmo1 1^<-1>程度の検出感度でNOの変化を追及できるようになった。 また,無麻酔自由行動下の実験モデル動物に対して,動物実験にしばしば用いられるペントバルビタール,ケタミンの細胞外NO濃度に及ぼす影響に関する研究を開始し,ペントバルビタールがNOを減少させる一方,ケタミンがNOを増加させる作用のある事を発見した。更に,ペントバルビタールのNO減少作用はネオスチグミンやニコチンによって拮抗される事から,アセチルコリン作動性神経活動が関与している可能性が明らかとなった。反対に,NOを増加させるケタミンの影響は,メカミラミンによって拮抗されず,アセチルコリン作動性神経活動の関与がほとんど無いと考えられた。 以上の所見は未だ現象論の域を出ないが,本研究に於いて初めて明らかにされた事象であり,麻酔薬の作用機序解明の手掛かりになると考えられる。また,各種の薬剤の脳保護作用,神経毒性作用の解明にも役立つであろう。 現在,臨床における代表的な麻酔薬であるセボフルラン,プロポフォールの影響を検討しているが,セボフルランもNOを減少させ,その作用がニコチンで拮抗される事を確認した。 成果の一部は既に国際学会へも発表しており,20年度中には最初の成果を国際的学術誌へ投稿すべく予定している。
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