研究課題/領域番号 |
19591801
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大下 修造 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60144945)
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研究分担者 |
富山 芳信 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (30243702)
田中 克哉 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (30263841)
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キーワード | 循環器・高血圧 / 心筋虚血 / 電解質 / カリウム / カルシウム |
研究概要 |
心筋虚血時に細胞外に蓄積するカリウム(K)イオンの心筋保護効果を、細胞内カルシウム(Ca)イオン濃度の変化という観点から検討している。さらに細胞膜電位および細胞死(細胞膜傷害)への影響も調べ細胞内Caイオン濃度の変化との関連も検討する予定である。 新生児ラット心筋細胞分離システムを用いて、新生児ラットの心筋細胞を分離、培養した。Fluo-4を用いた細胞内Caイオン濃度の測定、DiBAC4(3)を用いた細胞膜電位測定、さらにはカルセインを用いた細胞膜傷害の測定が可能となっている。シアン化ナトリウムならびにデオキシグルコースを用いて細胞を虚血類似状態にするとともに、それに続き上記薬物を洗い流す虚血再潅流モデルを作り、適切な虚血時間を決定した。最初に細胞膜傷害に対する影響の検討を開始した。カルセインを負荷した心筋細胞を倒立顕微鏡のステージ上で潅流し、励起光を標本に当て蛍光強度を経時的に測定した。実験群はコントロール群、ウアバイン(100uM)群、虚血群、虚血+ウアバイン群、虚血+高カリウム(20mM)群、虚血+ウアバイン+高カリウム群の6群とした。中間報告ではあるが、虚血+ウアバイン群がもっとも細胞膜傷害が強く、虚血群に比較して虚血+高カリウム群の細胞膜傷害は少ない傾向があった。細胞膜電位測定の予備実験でも虚血群に比較して虚血+高カリウム群のほうが、再潅流後の膜電位の上昇が少ない傾向があった。今後、上記実験を完了させるとともに、以上の結果をふまえ、細胞内Caイオン濃度変化を測定する予定である。さらに、K濃度を変えるなどしてより詳細な検討を行う予定である。以上、心筋虚血時に細胞外に蓄積するKイオンは心筋を保護するように作用している可能性が示唆される。
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