視床下部室傍核(PVN)のオレキシン-A(ORX-A)放出に及ぼす麻酔薬の影響について調べた。PVNニューロンからのORX-A放出は、覚醒期の身体活動時に多く認められた。ORX-Aは覚醒期でも、安静時には殆ど認めなかった。睡眠時にもORX-Aは認めなかった。覚醒期にプロポフォールを投与すると、筋電図上で活動性の低下を認め、脳波上睡眠期となり意識消失するとともにORX-A放出も減少した。プロポフォール投与量が増大するとORX-A分泌量が減少する傾向が認められた。 吸入麻酔薬であるイソフルランを投与すると導入時に興奮期を認めたが、麻酔期になると身体活動性の低下とともに意識消失しORX-A放出低下を認めた。その作用に濃度依存性は認めなかった。
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