研究課題/領域番号 |
19591815
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
小川 幸志 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (30204077)
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研究分担者 |
水本 一弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50239258)
畑埜 義雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70115913)
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キーワード | 糖尿病 / スタチン / 血管内皮細胞 / 弛緩反応 |
研究概要 |
糖尿病ではその病初期から血管内皮の機能低下が生じ、動脈硬化の発生と進展の原因となっている。HMG-CoA還元酵素阻害薬であるスタチンは脂質低下作用以外に、内皮機能改善作用を有し、糖尿病患者の心血管病変の罹患率を減少させることが報告されている。本年度は糖尿病ラットを用い、内皮依存性弛緩に及ぼすシンバスタチンの影響を検討した。 自然発症2型糖尿病ラットとその対照ラットの胸部大動脈を摘出し、内皮温存リング標本を作製し、アセチルコリンに対する弛緩反応を観察した。糖尿病ラット血管では対照ラットに比ベアセチルコリン惹起内皮依存性弛緩反応が有意に低下していた。シンバスタチン(10^<-5>M)で20分間暴露により糖尿病ラット血管の内皮依存性弛緩反応は有意に改善した。シンバスタチンは対照ラットの弛緩反応には影響を及ぼさなかった。 以上より、シンバスタチンは正常内皮には何ら影響を与えず、主に障害された血管内皮機能を改善する作用を有すると考えられた。従来報告されていた慢性投与のみならず、急性投与においてもスタチンは内皮機能改善作用を発揮することが明らかとなった。
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