19年度に実施した研究の成果 還元型ヘモグロビン-亜硝酸反応によって生成された一酸化窒素(以下NO)の脳梗塞領域縮小効果の検討を目的として以下の研究を実施した。 1)局所脳虚血再灌流ラットモデルでの研究 局所脳虚血再灌流させたラットをいったん覚醒させ、数日後に脳組織を凍結後一定の断面で切断、TTC染色を行い虚血領域の同定と範囲の測定を解析ソフトウエアを用いて体積として計算しコントロール値とした。比較検討群として亜硝酸を前投与し還元型ヘモグロビン-亜硝酸反応を利用してNOを生成させた後に局所脳虚血再灌流を行った群を用い同様に梗塞領域の体積を測定した。その結果、亜硝酸前投与群では約50%の脳梗塞軽減効果が認められた。 2)薬理学的インターベンション 局所脳虚血再灌流ラットの同じモデルを使用し、上記の研究で認められた脳梗塞領域軽減効果が還元型ヘモグロビン-亜硝酸反応によるNO生成系を介していることを確かめるためにNOS阻害薬であるL-NNAを投与したが結果は不変であったためNOSによるNO生成系の関与が否定された。またさらにcGMP-GC系を介しているがを確かめるために阻害薬であるメチレンプルーを便用した結果、一部の効果が影響を受けたためGC系の関与が認められた。 以上の実験結果より還元型ヘモグロビン-亜硝酸反応によって生成されたNOが脳虚血再灌流後の梗塞領域軽減効果に深くかかわっていることが示唆され脳保護につながる非常に重要で意義ある結果が得られた。 今後はNOセンサーを用いた生成NOの定量やヘモグロビンのファクターを人為的に変化させたモデルにてさらに検証を進める計画である。
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