研究課題/領域番号 |
19591818
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
飯島 毅彦 杏林大学, 医学部, 准教授 (10193129)
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研究分担者 |
三嶋 竜弥 杏林大学, 医学部, 助教 (40317095)
須賀 圭 杏林大学, 医学部, 助教 (30306675)
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キーワード | ミトコンドリア / 神経細胞死 / 膜電位 / アポトーシス / カルシウム / グルタミン酸 / MPT |
研究概要 |
本年度は、前年度の結果を受けて、先行する虚血に伴うミトコンドリアの細胞内カルシウム緩衝能の亢進について検討した。培養神経細胞にグルタミン酸を負荷することにより、細胞内Ca^<2+>([Ca^<2+>]_c)の上昇をもたらし、その時のミトコンドリアCa^<2+>([Ca^<2+>]_m)の変化を観察したところ、速やかに[Ca^<2+>]_mは上昇し、ミトコンドリアのカルシウム緩衝能が観察された。preconditioning作用(虚血耐性)を示す30分のOGD(無酸素無糖培養)負荷を与えたモデルで、同様の観察を行ったところ、グルタミン酸負荷後、細胞内[Ca^<2+>]_cは、速やかに低下し、[Ca^<2+>]_mは上昇を続けた。30分OGDモデルでは、細胞内カルシウム緩衝能が亢進していることが示された。一方、虚血時間の長い120分OGDモデルではグルタミン酸負荷による[Ca^<2+>]_cの上昇も少なく、[Ca^<2+>]_mの上昇も少なかった、ミトコンドリアはCaを緩衝する能力を持つが、その能力を超えてCaが流入するとmPT[mitochondrial pearmeability,transition]が開き、ミトコンドリアからカルシウムが再び細胞内に流失する。このmPTを形態学的に観察するために透過型電子顕微鏡にて各モデルを観察した。その結果、30分OGD後では、ミトコンドリアは正常像を示すが、電子密度の濃い幾分大きなミトコンドリアが多く観察された。これにグルタミン酸を負荷した後では、クリステの構造が丸くなっているものが多く観察された。ごく一部には、ミトコンドリア外膜の離断されているものが観察された。120分OGDでは、ミトコンドリア内外膜の二重構造が失われており、mPTを示すものが多く見られた。ミトコンドリアカルシウム緩衝能と超微構造の関連が示された。
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