研究課題
白人および日本人肝ミクロゾームサンプルについて、プロポフォール水酸化活性測定を行なった。その結果、個体間で4-水酸化およびω-水酸化活性に著しい差が認められた。これらの活性の差の要因について、各個体でCYP3A4,CYP1A2およびCYP2B6の指標基質、テストステロン6β-水酸化活性、7-エトキシレゾルフィン脱エチル化活性およびテストステロン16β-水酸化活性との相関について検討したところ、特に、プロポフォールの4位-水酸化活性に関しては、テストステロン6β-および16β-水酸化活性と、またω-水酸化活性においてはテストステロン16β-水酸化活性と有意な相関性が認められた。従って、ヒト肝でのプロポフォール水酸化活性はこれら酵素活性および含量に依存することが示唆された。このP450分子種に関しては、いずれも遺伝的多型が報告されており、多型に伴った酵素含量の変動や活性値の減少が個体差の一要因であると示唆された。特に、4およびω-両水酸化活性に関与しているCYP2B6に関して、活性の減少を伴ったCYP2B6*6に関して、活性測定に用いた肝ミクロゾームと対応するゲノムDNAについてPCR-RFLP法を用いた多型判定を行なったところ、明らかに変異を有する個体に関して、プロポフォール水酸化活性の低下が認められた。以上のことから、プロポフォール使用時の覚醒遅延の要因の1つに肝チトクロームP450分子種のうち、CYP2B6の遺伝的多型との関連性が強く示唆された。この結果は、今後の臨床でのプロポフォール使用時の副作用に関して、あらかじめ予測するために有効であると考えている。
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