研究課題/領域番号 |
19591826
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
下出 典子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00351809)
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研究分担者 |
太城 力良 兵庫医科大学, 医学部, 病院長 (20107048)
多田羅 恒雄 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (30207039)
植木 隆介 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10340986)
狩谷 伸享 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (20305642)
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キーワード | 麻酔薬 / 胎盤移行 / 灌流 / 産科 / 揮発性麻酔薬 |
研究概要 |
ヒト胎盤小葉灌流モデルを作成し、セボフルラン(S)とイソフルラン(I)の胎盤移行性を検討した。 揮発性麻酔薬はS、I、それぞれ2L/分ずつのflowで気化器を通過させ、それぞれS1.5%、I1%の濃度となるように、母体灌流液にバブリングして溶解させた。灌流液には生理食塩水と組織灌流液medium199を用いた。母体側の流量は15ml/分、胎児側は2ml/分とした。それぞれ、10分以上経過後に母体動脈側および胎児静脈側の灌流液をサンプリングし麻酔ガス濃度測定を行った。測定には、前年度に調整をしたガスクロマトグラフィーシステム(島津HSS-2Bおよび島津GC14B)を用いた。5例の摘出胎盤で研究を行い、結果をまとめた。母体動脈と胎児静脈のサンプルの濃度比(F/M比)の平均(SD)はSで0.145(±0.07)、Iで0.144(±0.06)で有意差を認めなかった(p=0.992)。本結果は、シングルパスモデルの実験系(今回のヒト胎盤小葉灌流モデルが該当)における揮発性麻酔薬の胎盤移行の目安として、価値のある結果と考えちれ、2009年8月(5月予定から延期)の日本麻酔科学会第56回学術集会にて発表した。 さらに、SおよびIのアンチピリンクリアランスを求めるためのプロトコールを作成し、研究を継続してきた。 すなわち、母体側灌流液にアンチピリンを添加し、さらに胎児側の灌流流速を1,2,3ml/分と変化させて、それぞれのステージにおいてサンプリングを行った。これにより、それぞれの胎盤移行率から、これら2種類の揮発性麻酔薬のアンチピリンクリアランスが算出できる。胎盤小葉モデルは胎児静脈側のサンプリングが難しいという問題があったが、これまでの研究の結果、7個の胎盤モデルにおいて必要なサンプリングに成功しており、現在論文作成中である。
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