研究概要 |
虚血・再灌流にともなう心臓交感・迷走神経終末からの神経伝達物質放出機序 心虚血時に虚血部心臓交感神経終末からuptake_1 carrierを介して、大量のノルエピネフリン非開口分泌が引き起こされることを明らかにした。また、虚血部心臓迷走神経終末からはアセチルコリン分泌が引き起こされ、その分泌はvoltage-dependent Ca^<2+> channel antagonistではブロックされず、intracellular Ca^<2+> antagonistであるTMB-8で抑制されることを明らかにした。さらに、Na^+-K^+ ATPase inhibitorであるouabainの局所投与により、心臓交感神経終末からはノルエピネフリンの開口分泌と非開口分泌がおこり、心臓迷走神経終末からはアセチルコリンの開口分泌が起こることを明らかにした。このことから、虚血時の心臓交感神経終末からのノルエピネフリン放出、心臓迷走神経終末からのアセチルコリン放出に、ATP枯渇によるNa^+-K^+ ATPaseのblockが関与していると考えられた(Acta Physiol 191:275-84,2007)。 虚血・再灌流にともなう心臓交感・迷走神経終末異堂が心筋細胞傷害に及ぼす影響 冠動脈閉塞直後から迷走神経刺激をおこなうことにより、心筋虚血・再灌流によるミオグロビン放出を指標とした急性期の心筋細胞傷害を軽減できた。しかし、この軽減作用は、アセチルコリンの心筋細胞に対する直接作用より、心拍数低下による心筋酸素消費減少が主たる要因と考えられた。(Life Sci 83:490-5,2008)。また、desipramine局所投与により虚血部交感神経終末からのノルエピネフリンの非開口分泌を抑制しても、心筋虚血・再灌流によるミオグロビン放出を指標とした急性期の心筋細胞傷害は軽減できなかった(投稿中)。
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