特発性過活動膀胱患者8例、間質性膀胱炎患者10例において、末梢神経検査装置と経尿道的膀胱壁電気刺激電極を用いた膀胱知覚の解析を行った。膀胱のAδ線維とC線維の閾値は、これらの患者で必ずしも低下しているわけではなく、頻尿や尿意切迫感という蓄尿症状と膀胱のAδ線維とC線維の閾値とは必ずしも相関していないことが示唆された。間質性膀胱炎患者では、麻酔下での膀胱水圧拡張術後に膀胱知覚検査を再評価しているが、膀胱のAδ線維とC線維の閾値は膀胱水圧拡張術後も一定の変化を示さなかった。神経疾患に付随する難治性の過活動膀胱に対して、レジニフェ、ラトキシン膀胱内注入を施行した患者5例では、レジニフェラトキシン膀胱内注入により膀胱のC線維の閾値の上昇が認められた。 プリン受容体P2X3、バニロイド受容体TRPV1に対する抗体と全般的神経線維マーカーであるPGP9.5を用いて、コントロール患者、前立腺肥大症患者、間質性膀胱炎患者から採取した膀胱生検組織の尿路上皮と粘膜下に発現する知覚受容体を免疫組織化学的に検討した。コントロール患者に比較して、過活動膀胱を合併する前立腺肥大症患者では粘膜下における知覚受容体の発現が増加していることが示唆された。また、間質性膀胱炎患者でも、粘膜下における知覚受容体の発現が増加していることが示唆された。一方、尿路上皮における知覚受容体の発現に関しては、過活動膀胱を合併する前立腺肥大症患者および間質性膀胱炎患者のいずれにおいてもコントロール患者と比較して、軽度の増加が認められた。
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