研究課題
仙髄オヌフ核は外尿道括約筋活動を制御する中枢性機構において重要であり、この神経核を構成する神経細胞には代謝型グルタミン酸受容体サブタイプmGluR1とmGluR5が多く存在することが知られている。我々は、これまでの研究で、仙髄オヌフ核のmGluR1欠損マウスは、排尿時に排尿筋外尿道括約筋協調不全を呈し、排尿効率が低下していることを明らかにした。一連の研究は、少なくともmGluR1が排尿時外尿道括約筋活動を抑制性に制御すること、そして、脊髄損傷後の排尿障害において見られる排尿筋外尿道括約筋協調不全の病態とmGluR1欠損により生じる下部尿路機能不全との類似性を明らかにしていた。当該年度の研究では、mGluR1作動薬の脊髄腔内投与が、マウス脊髄損傷モデルの排尿筋外尿道括約筋協調不全を抑制することを確認した。更に、仙髄オヌフ核に存在する別のサブタイプであるmGluR5の外尿道括約筋活動に関する機能的役割を脊髄正常マウスと脊髄損傷マウスにおいて薬理学的手法を用いて検討した。脊髄正常マウスにおいてmGluR5拮抗薬である6-methyl-2-(phenylethynyl)pyridine(MPEP)は、外尿道筋活動を変化させなかった。一方、脊髄損傷マウスにおいて、MPEPは、排尿筋と外尿道括約筋の排尿協調頻度を増加、排尿協調時間を短縮、そして、排尿協調不全時間を著明に増加した。この結果は、脊髄損傷マウスの膀胱収縮時外尿道括約筋活動に対しmGluR5が抑制性に制御することを示唆している。以上の結果は、mGluR1とmGluR5が属する代謝型グルタミン酸group Iの作動薬、もしくは、これら受容体メカニズムの活性化が脊髄損傷後に生じる排尿筋外尿道括約筋協調不全を緩和する可能性を示唆する。
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