研究概要 |
1.ヒトおよびマウス前立腺癌皮下移植モデルにおけるHIFU照射による遺伝子導入効率の検討 in vivoにおけるHIFU照射時間と遺伝子導入効率の相関関係を検討し、その再現性を確認した。具体的には現在得られた至適照射時間0.1秒、至適照射出力20Wで行なった。その際、ヌードマウスの大腿部にヒト前立腺癌細胞株PC-3、LNCaP、またはマウス前立腺癌細胞株RM-9、178-2BMAを皮下注し腫瘍を形成させる(前立腺癌皮下移植モデル)。この皮下腫瘍に対し、Luciferase発現ベクター(plasmid DNA)を400μg尾静注または50μg腫瘍内局注したのち,上記設定条件でHIFUを用いて超音波を照射したのち、luciferinを尾静脈内注入し、luciferase活性を、in vivo蛍光イメージングシステム(IVIS)で測定し、遺伝子導入を確認しえた。以上より、HIFUはプラスミドDNAのみで遺伝子導入を可能にし、また経静脈的投与でも選択的に遺伝導入しうる独創的なベクターフリー癌遺伝子療法の開発基盤となるうるものと考えられる。2.ヒトおよびマウス前立腺癌皮下移植モデルにおけるHIFUまたはアデノウイルスベクターを用いたIL-12遺伝子導入(局所投与系)の比較検討マウス前立腺にヒト前立腺癌細胞(PC-3、LNCap)またはマウス前立腺癌細胞(RM-9,178-2BMA)を皮下移植したのち、naked IL-12DNA, GFP標識DNAおよびコントロールを腫瘍内に直接投与し、先に設定した条件でHIFUを用いた遺伝子導入と、アデノウイルスベクターを用いたIL-12遺伝子導入をおこない遺伝子導入と組織障害性について、組織学的検討、蛍光顕微鏡下での観察とELISA法による血清中IL-12値の定量によるIL-12産生能の比較検討をおこなった。これにより、ベクターフリーのIL12遺伝子治療の基盤的背景が得られたと考えられる。
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