研究課題
腎細胞癌患者215例についてDNA修復遺伝子多型と腫瘍の発生・進展の関係を調査した。健常人との比較においてDNA修復遺伝子多型は腎細胞癌発生の危険因子とはならないと考えられた。しかしながら、DNA修復遺伝子多型alleleを多く持つ患者は腎細胞癌の静脈内進展の頻度が有意に低かった。また、喫煙腎細胞癌患者においてはいくつかのDNA修復遺伝子型と腫瘍の進展度または生存率との間に有意な相関が認められた。DNA修復遺伝子多型のいくつかはDNA修復能を改変することにより、とくに喫煙患者において、腎細胞癌の進展に影響を与えると考えられた。これら結果が腎細胞癌の進展のメカニズムを解明する助けとなることが示唆された。上部尿路癌患者103例について5つのDNA修復遺伝子多型と患者予後の関係を調査した。Xeroderma pigmentosum complementation group C遺伝子多型alleleを有すること、調査した全てのDNA修復遺伝子多型alleleの総数が4以上、および3つのnucleotide excision repair遺伝子多型alleleの総数が3以上であることは、多変量解析において、良好な生存率と有意な相関が認められた。いくつかのDNA修復遺伝子多型は、上部尿路癌患者において、手術前より利用可能でしかも病期および病理学的悪性度を凌駕する独立した予後予測因子であり、治療の個人化を実現する可能性があることが示唆された。
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Neoplasia 10(3)
ページ: 255-265
Annals of Oncology 18(11)
ページ: 1817-1827