研究課題
腎細胞癌患者215例についてDNA修復遺伝子多型と腫瘍の発生・進展の関係を調査した。健常人との比較においてDNA修復遺伝子多型は腎細胞癌発生の危険因子とはならないと考えられた。しかしながら、DNA修復遺伝子多型alleleを多く持つ患者は腎細胞癌の静脈内進展の頻度が有意に低かった。また、喫煙腎細胞癌患者においてはいくつかのDNA修復遺伝子型と腫瘍の進展度または生存率との間に有意な相関が認められた。DNA修復遺伝子多型のいくつかはDNA修復能を改変することにより、とくに喫煙患者において、腎細胞癌の進展に影響を与えると考えられた。これら結果が腎細胞癌の進展のメカニズムを解明する助けとなることが示唆された。化学放射線療法が施行された浸潤性膀胱癌患者119例について機能を持つDNA修復遺伝子多型と化学放射線療法における毒性の発生の関係を調査した。Grade3以上の好中球減少症は、xeroderma pigmentosum complementation group C (XPC)遺伝子多型(Lys939Gln)の遺伝子型がLys/GlnもしくはGln/Glnの患者においてLys/Lysの患者よりも有意に多く認められた。また、grade2以上の悪心・嘔吐は、XPC遺伝子型がGln/Glnの患者においてLys/LysもしくはLys/Glnの患者よりも有意に多く認められた。これらのことより、XPC遺伝子型は膀胱癌患者に対する化学放射線療法における毒性の発生を予測する因子として有用であり、これにより治療の個人化を実現する可能性があることが示唆された。
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