研究課題/領域番号 |
19591854
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
福森 知治 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10314874)
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研究分担者 |
金山 博臣 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10214446)
高橋 正幸 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50325255)
岡 夏生 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40335790)
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キーワード | 泌尿器科癌 / ガレクチン-3 / 転移 / 集学的治療 / 遺伝子治療 / 血管新生 / アポトーシス |
研究概要 |
ガレクチン-3は多くの癌細胞の細胞内外で強発現が認められ、細胞の増殖、血管新生、アポトーシス調節等に関与し、癌の浸潤・転移に重要なキータンパクの1つであることが示唆されている。われわれは以前、腎細胞癌においてガレクチン-3が有意に高発現していることを見いだしているが、今回3例の淡明型腎細胞癌の転移組織(肺転移2例、副腎転移1例)から、total RNAを抽出し、ガレクチン-3の発現をreal-timePCR法で検討した。転移巣では、原発巣と同程度以上にガレクチン-3が高発現しており、腎細胞癌の転移の治療としてガレクチン-3が重要なターゲット遺伝子になることが示唆された。さらに、ヒト膀胱癌でもガレクチン-3は正常膀胱粘膜と比較して有意に高発現していることを見いだし、43例の膀胱患者群の血清ガレクチン-3の発現は24例のコントロール群のそれより有意に高いことも発見し報告した(1068vs 584pg/ml、p=0.0005)(J Med Invest.55、127-132、2008)。以上の結果は、ガレクチン-3が治療のターゲット分子のみならず、診断分子としても有効であることを示唆している。現在われわれは、前立腺がん細胞株(PC-3)および腎癌の細胞株(KPK-1)においてガレクチン-3の発現を5分の1以下にノックアウトした細胞株を作成しており、これらの細胞を利用して腎細胞癌、前立腺がんに対する放射線療法、インターフェロンによる免疫療法、シスプラチンとタキサン系による化学療法とガレクチン-3の発現抑制による治療効果、血管新生、アポトーシスへの影響を検討していく予定である。さらにはガレクチン-3の発現を制御するブロッキング抗体を作成し、転移巣をターゲットにした遺伝子治療に応用していく予定である。
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