進行性腎癌に対するIFN-α+樹状細胞併用療法の検討 【目的】難治性腎細胞癌患者に対して、不活化した腫瘍をパルスした樹状細胞とIFN-α投与による併用療法を施行し、その安全性と有効性を検討した。【対象】根治的腎摘除術施行時、または術後に転移を有し、IFN-αとIL-2による免疫療法によって効果が認められない患者7名に対して、IFN-αと樹状細胞併用療法を施行した。【結果】治療効果は7名中、NC5名、PD2名であった。6名の患者で前治療に比べて、有意に無増悪期間が延長していた(2.8ヶ月vs.7.8ヶ月、P<0.025)。腫瘍特異的反応を示す遅延型過敏反応が7名中6名で認められた。1名にGrade IIの発熱が認められた以外、特記すべき有害事象は認められなかった【まとめ】IFN-α、樹状細胞併用療法の安全性と難治性腎癌に対して有効である可能性が示唆された。 腎癌に対するIFN-・療法が抑制性T細胞に与える影響についての検討 【目的】IFN-αによる免疫療法では、様々な細胞群に対して影響を与えることは数多く報告されているが、抑制性T細胞に影響を与えるかについては不明な点が多い。本研究では、IFN-αの導入が必要となった転移性腎癌患者における、免疫療法が末梢血細胞に与える影響を調査し、治療効果と末梢血細胞の変化について検討した。【対象】根治的腎摘出術施行後、転移を有する患者18名に対してIFN-αまたはIFN-α+IL-2による免疫療法を行い、治療前後の末梢血中の抑制性T細胞(CD4+FoxP3+T細胞)をFACSにて測定した。【結果】抑制性T細胞はIFN-α単独投与2週間後で有意に減少するが、投与2ヵ月後では投与前のレベルにまで回復していた。一方、IFN-α+IL-2では治療開始後2週間で抑制性T細胞は有意に増加していた。IFN-α単独治療による抑制性T細胞数と臨床効果の比較では、SD群ではPD群に比べてIFN-α投与前の抑制性T細胞が有意に低値であった。【考察】IFN-αによる治療効果は、治療前の抑制性T細胞が少ないほうが有利であることが示唆された。
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