【研究の目的】尿意切迫感、頻尿・尿失禁で悩む患者は多く、その症状は生活の質を低下させる。疾患克服に向けて、過活動膀胱の病態解明が行われている。その中で、膀胱粘膜下層に存在するmyofibroblast が膀胱収縮におけるペースメーカーの役割を果たしており、過活動膀胱においでもmyofibroblast とギャップ結合との関連が示唆されている。そこで我々はラットで過活動膀胱モデルを作成し、排尿症状と膀胱粘膜下組織のギャップ結合・myofibroblast との関連性の解析を開始した。 【研究内容】0.4N 塩酸 0.2ml を SD ラットの膀胱内に注入し過活動膀胱モデルラットを作成。Urodynamic studyにて頻尿を確認後、膀胱を摘出。膀胱粘膜下組織での myofibroblast、ギャップ結合の責任タンパクである Cx26、Cx43の 発現変化を免疫組織学的に検討した。 【研究成果】過活動膀胱ラットモデルではコントロールラットと比較して、膀胱粘膜下層め増生を認め、その粘膜下組織には myofibroblast の著明な発現増加を認めた。さらに、発現増加した myofibroblastにはCx26、Cx43ともに発現を認め、特に Cx43の発現増強は顕著であった。 【成果の意義】膀胱粘膜下組織では神経(C-fiber)と myofibroblastはギャップ結合を介してコミュニケーションを持っている。さらに、myofibroblast 増生と myofibroblast 上の Cx 発現増強により、膀胱粘膜下組織でのシグナル伝達の増強がおこり、過活動膀胱症状へと繋がる可能性を示唆するものであった。
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