【研究の目的】尿意切迫感、頻尿・尿失禁を呈する過活動膀胱の病態解明目的に、前年度は動物モデルにて膀胱粘膜下組織の細胞間コミュニュケーションを解析した。それでは、ギャップ結合を介したシグナル伝達増強が過活動膀胱の病態の一っであることを解明した。これをもとに、ヒト過活動膀胱でも同様な病態であるかを解析。さらに、その結果から過活動膀胱に対する新規治療を検討する。 【研究内容】過活動膀胱症状を呈するヒト問質性膀胱炎患者の膀胱組織検体を用い、膀胱粘膜下組織の神経(C-fiber)とギャップ結合にてコミュニケーションを持つmyofibroblastの発現、さらにこれらのConnexlnタンパクの発現を解析した。 【研究成果】ヒト正常膀胱4例(膀胱腫瘍症例での正常部)、間質性膀胱炎患者24例を対象に、膀胱粘膜下組織のmyofibroblastの発現、さらにこれらのCx43の発現を免疫組織染色で解析した。正常膀胱、問質性膀胱炎症例ともに膀胱粘膜下組織にyofibroblastの発現を確認。さらに、間質性膀胱炎症例においては、24例中19例(79%)でmyofibroblastの著名な発現増生が確認された。同時にこれらmyofibroblastにCx43、AT1の発現増強が確認された。【成果の意義】過活動膀胱において、膀胱収縮に関与すると考えられている膀胱粘膜下組織のmyofibroblastが発現増強し、これがCxを介してC-fiberと細胞間コミュニュケーションを持ち、膀胱知覚路の亢進につながっていることが示唆された。さらに、AT1の発現増強があることから、ARBが過活動膀胱の治療として有効である可能性が示唆された。
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