研究概要 |
1.前立腺癌細胞株を用いて,アンギオテンシノーゲンノックアウト(agt-/-)マウスでの前立腺癌皮下腫瘍モデルを誘導し,野生型(wt)マウスとの皮下腫瘍モデルでの腫瘍増殖速度を比較し,さらに腫瘍内における血管新生の程度を比較検討した。Agt-/-マウスにおいては,wtマウスに比べて腫瘍増殖速度は緩徐であり,皮下腫瘍内の微小血管密度ならびに血管新生因子の発現について免疫組織学的に検討を行った。Agt-/-マウスにおいては,wtマウスに比べては有意に血管新生が抑制されていた。 2.前立腺癌皮下腫瘍モデルと同時に,膀胱癌皮下腫瘍モデルにおいてもアンギオテンシン受容体(ATIR)を介した治療に関する研究は進めていたが(Kosugi, et. al. Clin Cancer Res 12,2888-2893,2006),この作用機序に関する機能解析を進めた。この件については,学会発表(アメリカ泌尿器科学会)ならびに論文発表した(Kosugi, et. al. Hum cell 20:1-9,2007)。さらにATIR阻害剤の抗腫瘍効果に関する検討は続行し,既存の抗がん剤であるシスプラチンやパクリタキセルとの併用にてATIR阻害剤単独治療に比べて有意な増強効果を認め,現在,論文投稿中である(Kosugi, et. al.Urology,revised)。
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