研究概要 |
前立腺癌では内分泌抵抗性を獲得すると血管新生が促進する病態を得る傾向にあるが、さらにその作用機序として、VEGFの発現に深く関わる転写因子のHIF1αとEts-1が関与していることが判明した。この点については本年の米国泌尿器科学会に採択され、発表予定である。またこの発見はホルモン不応性前立腺癌においてその傾向は強く、ホルモン不応性獲得のメカニズム解明においても重要な発見と認識している。前立腺癌皮下腫瘍モデルと同時に,膀胱癌皮下腫瘍モデルにおいてもアンギオテンシン受容体(ATIR)を介した治療に関する研究は進めていたが(Kosugi et al. Clin Cancer Res12,2888-2893,2006),この件については抗癌剤と併用し、さらなる治療効果を得たので論文報告し近々掲載される予定である(Kosugi M, et al. Urology, 2009(in press))。前立腺癌におけるアンギオテンシンIIの機能については今後論文発表の予定だが、同じノックアウトマウスを用いて腎線維化のメカニズムについて検討を行った。アンギオテンシノーゲンノックアウトマウスにおける水腎症では、間質線維化ならびに尿細管アポトーシスは有意に抑制されていた。この事実から、アンギオテンシンIIを抑制することが水腎症による腎障害を抑制する上で重要である。この件については、論文掲載予定である(Uchida et al, Urology, 2009(in press))。
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