研究概要 |
平成19年度は本研究とともに平成18年度までの研究の論文化を行った。本研究は、まず臨床検体の低酸素応答因子およびその下流の変化の解析目的に免疫組織染色を行った。免疫組織染色は腎癌の手術標本を用いたため、腎の正常組織と癌組織で比較検討することが可能となった。腎の正常組織においてはHIF-1,2,3ともに発現がみられたが、HIF1および3が同一部位に存在するのに対してHIF-2は異なった部位に存在していることが明らかとなった。また腎癌組織においてHIF-1,2,3ともに発現がみられたがVEGFの発現とは、相関を認めなかった。しかしHIF-1およびVEGFに関しては癌細胞の悪性度とやや相関する傾向が認められた。新鮮組織に関するRT-PCRによる研究は現在サンプル収拾中である。 次に細胞を用いた研究であるが、ヒト腎細胞癌細胞であるACHN,VMRC,caki-1,caki-2に対して、遺伝子工学的手法を用いてHIF-1を遺伝子導入したが、caki-1および2は遺伝子導入効率が悪く、最も良かったVMRCを用いて実験を進めている。HIfF-1を遺伝子導入したVMRC細胞は、低酸素に対する応答性が向上し、下流のVEGFおよびGLUT-1の遺伝子増幅が認められた。またHIfF-1を遺伝子導入したVMRC細胞は、細胞浸潤脳が高くヌードマウスに皮下移植すると対照群に比較して増殖速度が速いにかかわらず中心性壊死が少なく増殖することが確認された。 以上が平成19年度の研究成果であり平成20年度も継続研究の予定である。
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