研究課題/領域番号 |
19591876
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田中 基幹 近畿大学, 医学部, 講師 (30347562)
|
研究分担者 |
植村 天受 近畿大学, 医学部, 教授 (90213397)
野澤 昌弘 近畿大学, 医学部, 講師 (00441080)
デベラスコ マルコ 近畿大学, 医学部, 助教 (20449838)
|
キーワード | 前立腺癌 / 分子標的治療 / ペプチド |
研究概要 |
PSA failureなどホルモン抵抗性難治性前立腺癌は全世界的に極めて予後不良で有効な治療法がなくその対策が急務である。我々はリン酸化Aktに着目しそのregulatorであるPTEN癌抑制伝子を中心に検討を重ねてきた。なかでも、Cre-LoxPのシステムによるPTEN conditional gene targetingによるとトランスジェニックニックマウスでは、前立腺における多段階発癌と徐睾術によりホルモン抵抗性前立腺癌へ移行する前立腺癌no novoモデルを確立した。このモデルを中心にPTEN癌抑制伝子に関連した前立腺癌の発癌機序解明およびホルモン抵抗性獲得の機序の網羅的な解析を行った。さらに、この前立腺癌モデルの前臨床試験や新規治療への応用性を確認するため、選択的Cox2阻害薬(Meloxicam)によるChemoprevention study、さらに新規にデザイン合成したp16およびPTEN機能性ペプチドによる新規分子標的治療の有用性をこのモデルを用いて検証した。PTENノックアウトにおける前立腺癌の発癌機序解明およびホルモン抵抗性獲得の機序の網羅的な解析であるが、論文化およびその特許の可能性もありここでの詳細は割愛させていただくが、新たな分子マーカーや治療候補遺伝子などの分子候補が見つかり、RT-PCRやsiRNAでの検証を行い、その成果のあり方について検討予定である。 また、選択的Cox2阻害薬による研究ではコントロールに比べ明らかに前立腺癌の進展が有意に抑制されていた。さらに興味深いことに前立腺癌の前癌病変であるPINの発現頻度も有意に抑制していた。これらの結果から、PSA高値、PIN陽性患者、家族性に高リスク患者、さらに手術や放射線療法後の再発予防など幅広い応用が期待され、今後選択的Cox2阻害薬による前立腺癌臨床治験が期待される。
|