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2007 年度 実績報告書

精子の細胞膜コレステロールと先体がもたらすICSI受精卵の遺伝的リスク

研究課題

研究課題/領域番号 19591886
研究機関旭川医科大学

研究代表者

立野 裕幸  旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80163492)

キーワードマウス精子 / 卵細胞質内精子注入法(ICSI) / 染色体異常 / コレステロール / 精巣精子 / メチル-β-シクロデキストリン
研究概要

精子を卵子の中に直接注入して受精卵を作製する技術(ICSI法)は男性不妊の治療法として広く利用されている。この技術を用いて作製したマウスICSI受精卵の染色体研究において、精子をあらかじめ重炭酸イオン緩衝系培地(TYH)中に2時間以上保存すると染色体の構造異常率は減少し、へペス緩衝系培地(H-TYH、H-mCZB)やリン酸緩衝系培地(PB1)中に保存した場合には逆に増加することが示されている。TYH中では、精子の受精能獲得に伴って頭部の細胞膜コレステロールの遊離や先体反応が起こるが、他の倍地中ではこれらの現象は起こらず、コレステロールや先体が卵内に持ち込まれ、精子クロマチンのリモデリングに悪影響を及ぼして染色体異常を誘発する可能性がある。そこで、コレステロール含有量が少ない精巣精子、およびメチル-β-シクロデキストリン(MβCD)でコレステロールを人為的に減少させた精子を使ってICSI受精卵を作製し、染色体異常率がどのように変化するかを調査した。
精巣精子をH-mCZBやPB1中に6時間保存してから作製したICSI受精卵においても染色体異常率の増加はみられなかった。MβCD(1mM)によるコレステロールの遊離は、H-TYHを基本培地として2〜3時間培養した場合に最も効果的であった。この条件で処理した精子を通常の体外受精法を用いて卵子と受精させ、得られた受精卵の染色体分析を行った結果、MβCD自体に精子DNAを損傷する作用のないことが明らかになった。この結果をもとに、MβCD処理した精子に由来するICSI受精卵の染色体分析を行ったところ、受精卵当たりの染色体異常数は0.070であり、MβCD未処理の精子に由来するICSI受精卵の値(0.103)に比べ低い傾向が認められた。
以上の結果から、精子頭部の細胞膜コレステロールが構造的染色体異常の生成に関わっていることが示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ICSIと精子染色体2008

    • 著者名/発表者名
      立野裕幸
    • 雑誌名

      産婦人科治療 96

      ページ: 357-361

  • [学会発表] マウスの精巣上体尾部精子および精巣精子に由来するICSI受精卵の染色体分析2008

    • 著者名/発表者名
      立野裕幸
    • 学会等名
      第50回日本生殖医学会北海道地方部会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌)
    • 年月日
      2008-03-01
  • [学会発表] マウス卵細胞質内精子注入法(ICSI法)で作製した受精卵に由来する胎仔および精巣内未熟精子に由来する受精卵の染色体分析2007

    • 著者名/発表者名
      立野裕幸
    • 学会等名
      第58回染色体学会・第17回染色体コロキウム
    • 発表場所
      総合研究大学院大学(葉山)
    • 年月日
      20071126-28
  • [学会発表] Chromosome aberrations in mouse embryos and fetuses produced by assisted reproductive technology.2007

    • 著者名/発表者名
      立野裕幸
    • 学会等名
      第8回国際染色体異常シンポジウム
    • 発表場所
      淡路夢舞台国際会議場
    • 年月日
      20071004-06

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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