研究課題
膣内に細菌がはいりこんで子宮腔内に感染しても炎症反応を阻止する生理的機構が働いている。この作用を発揮するのが子宮内膜細胞から産生されるビクニンである。ビクニンはもともと胎児尿から我々が発見した抗炎症物質である。早産治療薬としてすでにビクニンは臨床応用されている。今回、子宮内膜組織におけるビクニン発現を確認するとともにその生理活性を検討した。1)免疫組織染色を用いてヒトの各臓器におけるビクニン蛋白発現を系統的、網羅的に調べた結果、子宮内膜の腺管上皮細胞の細胞膜に局在を認めた。ビクニン前駆体は細胞表面のヒアルロン酸と結合して存在した。現在、In situ hybridizationを行ってビクニンmRNAの局在と蛋白発現を比較している。2)リコンビナントビクニンを用いて各フラグメントにおける生理作用を検討した結果、Ser10に結合するコンドロイチン硫酸が細胞結合と優位に相関した。3)マクロファージにLPS刺激を与えるとサイトカインが放出されるが、ビクニンはこの機序を阻害した。この場合に影響する転写因子はNF-kBよりEGR-1が有意に作用した。4)サイトカイン刺激により肝臓からビクニン前駆体が制御され産生されるが、ほとんどすべて前駆体として産生され、好中球のエラスターゼにより前駆体からビクニンが切り出された。5)炎症の局所では前駆体からビクニンが産生され、前駆体の一部は細胞外マトリックスの修復(組織修復)に作用し、ビクニンは局所での炎症を制御する方向に作用することが判明した。
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