研究課題
膣内に細菌がはいりこんで子宮腔内に感築しても炎症反応を阻止する生理的機構が働いている。この作用を発揮するのが子宮内膜細胞から産生されるビクニンである。ビクニンはもともと胎児尿から我々が発見した抗炎症物質である。早産治療薬としてすでにビクニンは臨床応用されている。今回、ビクニンの抗炎症活性を検討するため、活性化好中球からのサイトカイン産生に及ぼす影響を詳細に検討した。1)活性化好中球の産生するサイトカインは早産と関連し、そのサイトカイン産生を抑制するビクニンは実地臨床でも使用されており、有効性が認められている。2)ビクニンはLPSによるサイトカイン産生、TNF-alphaとIL-1betaを濃度依存性に抑制した。3)ビクニン0.2microM濃度でサイトカイン産生を抑制し、5microMで65%の抑制を認めた。4)LPS添加後のシグナル伝達経路を見ると、活性化好中球のERK1/2とp38のリン酸化が活性化されたが、ビクニンはこれらのリン酸化を抑制した。5)上記と連動して、IkappaB-alphaのリン酸化が抑制され、Ikappa-alphaの分解が抑制され、核内へのNF-kappaB移行が抑制された。以上より、ビクニンは単なる蛋白分解酵素阻害薬ではなく、LPSによるサイトカイン産生のシグナル伝達を制御することにより抗炎症活性を発揮することが証明された。
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