研究課題/領域番号 |
19591910
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
久慈 直昭 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80169987)
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研究分担者 |
浜谷 敏生 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60265882)
吉村 泰典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10129736)
加藤 真吾 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10177446)
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キーワード | 移植・再生医療 / 医療・福祉 / 遺伝子 |
研究概要 |
単一卵子のDNA microarrayによる遺伝子発現解析では、抽出されるmRNAが超微量であるため解析には遺伝子増幅が必須となるが、増幅法の最適化と、その信頼性は詳細に検討されていない。そこで、本研究ではマウス単一卵子から抽出したmRNAを、従来の2-stepT7 promotor-mediated transcription法と異なり、DNA増幅を基本とし、増幅から解析まで1日で終了するRNA-based single primer isothermal amplification法を用いて増幅した場合の、遺伝子発現解析結果の信頼性を検討し、さらにこの手法を用いて加齢による卵子の遺伝子発現変化を観察し、これを元に卵子の加齢変化に関わる分子生物学的機序を検討した。Ribo-SPIA法による遺伝子増幅産物と、増幅しない検体各々について、卵子に高頻度に発現する5遺伝子を定量的RT-PCR法にて測定した結果、増幅群でβactinの推定発現量が有意に高値となったが、他の4遺伝子の推定発現量は増幅群・非増幅群間でよく相関した。また卵子500個、および1個から抽出したtotal RNAをそれぞれ遺伝子増幅し、遺伝子発現microarrayにて解析したところ、全遺伝子の相関係数は0.83であった。さらに若齢マウスと44週齢以上の老齢マウスから採取した卵子を用い、単一卵子から抽出したtotal RNAを遺伝子増幅後、遺伝子発現microarray解析したところ、老齢マウスでは若齢マウスと比較して、細胞周期、細胞分裂の安定性に関与する遺伝子が低下する傾向が見られた。結論として、Ribo-SPIA法を用いた増幅遺伝子産物は卵子一個のtranscriptomeをよく反映していると考えられ、この系を用いて加齢によるマウス卵子の遺伝子発現の変化が単一卵子レベルでおこっていることが示された。
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