1.従来の直交電極をswitchしてDNA超伸展を図る方法に代え、ターンテーブルを装備した電気泳動装置を開発した。サーボ制御により、ターンテーブルが首振り運動することにより、効率よくDNA fiberの伸張が行えるようになった。 2.細胞操作過程における酸素傷害を防止するため、低酸素で細胞操作、細胞培養装置を開発した。酸素濃度2.0%環境下で高精度細胞培養が行えるようになった。 3.項目、1の研究をさらに発展させ、DNA fiber超伸展法をさらに高精度化するため、多重電気泳動法を開発した。位相をずらして複数回電気泳動することにより、効率的にDNA塊からDNA fiberを引き出すことができた。 4.本年度は項目3でDNA fiberを2次元的に展開し、染色体末端、すなわちテロメア部位の高精度観察を目指した。まず細胞融解、非泳動細胞標本についてペプチド核酸プローブを用いるFISH法を試み、定量的にシグナルが得られることを認めた。次いで超伸展したDNA fiberを対象として同様な試みを行った。細胞成分、特に核蛋白を酵素除去し、DNA fiberのみを超伸展したsampleは熱力学的に非常に脆弱であり、FISHに際して熱によるDNA2重鎖開裂に耐えられないことが示された。核蛋白が残存するようにしたsampleでは、効率が低下するがFISHシグナルが得られること認めた。次年度の方針として、新たに非水溶媒中におけるFISH技法の開発、泳動後に核蛋白または合成DNA結合物質による裏打ち法の開発が必要であると考えた。
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