研究課題/領域番号 |
19591916
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
竹下 俊行 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60188175)
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研究分担者 |
瀧澤 俊広 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90271220)
石川 源 日本医科大学, 医学部, 助教 (20287767)
富山 僚子 日本医科大学, 医学部, エンブリオロジスト (40409214)
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キーワード | ヘパリン / アスピリン / 不育症 / 習慣流産 / 反復流産 / グラニュライシン / 細胞性免疫 / NK細胞活性 |
研究概要 |
抗リン脂質抗体症候群に起因する習慣流産・不育症に対して、低用量アスピリン・ヘパリン併用療法が行われており、良い成績があげられている。ヘパリンの作用機序は、抗凝固作用が主たる作用であると考えられているが、胎盤・絨毛のアポトーシスを抑制や、補体の活性化を抑制など、他のメカニズムが存在することが明らかになってきた。 本年度は、ヘパリンの作用機序を解明する目的で、主に臨床的な検討を行った。ヘパリンは抗凝固作用以外に抗炎症作用など免疫能の変調作用がある。今回は、ヘパリン療法開始後の免疫状態の変化を観察するため、血清グラニュライシン濃度、NK細胞活性、Th1/Th2比を測定した。習慣(反復)流産、または10週以降の原因不明胎内死亡の妊娠歴を有し、抗リン脂質抗体が陽性であった妊婦39例を対象とした。妊娠企図周期の黄体期から低用量アスピリンを開始し、妊娠が確認されたら直ちにヘパリンカルシウム10,000単位/日の皮下注を行った。血清グラニュライシン濃度、NK細胞活性、Th1/Th2比は、ヘパリン開始前と開始後1週間目に測定した。NK細胞活性、Th1/Th2比はヘパリン開始前後で有意な変化を認めなかった。ヘパリン開始前のグラニュライシン濃度は2.92±1.96ng/mlであったのに対し、開始後1週間目では2.21±0.51ng/mlに低下した(p<0.05;対応のあるt検定)。ヘパリン療法はその抗凝固作用に期待して用いられているが、グラニュライシン低下にみられる細胞性免疫能の変調も重要なメカニズムの一つである可能性を示唆する所見を得た。向後、ヘパリンのどのような分画にこの作用が存在するかを明らかにして行く予定である。
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