研究概要 |
本研究は,「骨粗鬆症モデル動物では骨の中のプロテオグリカンの変化はコラーゲンの変化よりも著しい」という以前に確認した現象に着目し,プロテオグリカンが骨粗鬆症の発症や骨強度にどのように関連しているのかを調べることを目的としている。 雌ラットの卵巣を摘出すると約6ケ月の間に骨粗鬆症が完成する。本年度は疾患の完成に至るいくつかの段階のラットを作成した。週齢12週のラットに卵巣摘出を行い,8,16および24週経過した時点で,骨組織のプロテオグリカンをいくつかの分子種毎に定量し,同時期のコラーゲン,既存の骨代謝マーカーとの関係を検討した。同時に同じ週数で卵巣摘出をしていない群との比較も行った。プロテオグリカンはコラーゲンに比べ卵巣摘出後早期に減少することが示唆されたが,骨強度との明瞭な関係は今のところ不明である。 ヒト集団で血管障害因子と骨量との関係は既に比較検討した。すなわち総コレステロール,LDL-コレステロール,HDL-コレステロール,中性脂肪およびホモシステインなどと骨量の関連を調べたが,LDLコレステロールでは正常範囲では骨量と正の相関をするが,異常値域に入ると負の相関を示す事,ホモシステインについてもの高値を示す群ほど次年度の骨量は低い傾向にある事が判明した。今後プロテオグリカンや老化関連物質等をあわせて測定し関連を調べ,ヒトの骨におけるプロテオグリカンの役割について検討する。
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