研究課題/領域番号 |
19591921
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 潔 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70241594)
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研究分担者 |
岡本 聡 東北大学, 病院, 臨床検査技師 (40420020)
阿部 圭子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 技術補佐員 (30444003)
鈴木 史彦 東北大学, 病院, 技能補佐員 (20400343)
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キーワード | Peroxisome Proliferator-Activated Receptor (PPAR) / 子宮内膜癌 / Metabolic Syndrome / PPAR活性剤 / Retinoid / Retinoic acid receptor (RAR) |
研究概要 |
本年度は、まず、Peroxisome Proliferator-Activated Receptor(PPAR)と2量体を形成するRetinoidに着目した研究を行った。正常内膜、内膜病変でのRetinoic acid receptor(RAR)の発現の局在に関する検索を行い、内膜癌では内膜増殖症に比較してRARbetaの発現が有意に低下していることが明らかとなった。また内膜癌培養細胞の検討で、RARアゴニストの投与で細胞増殖が抑制されるとともにRARbetaの発現が誘導されていることがわかり、その治療薬としての応用可能性が示された。 また、疫学的に、子宮体がんの発症危険因子に関して、日本人を対象とした、メタボリックシンドロームとの関連という視点からの研究はなされていない。そこで、日本での症例対照研究で、子宮体がんの大部分を占める類内膜腺がんに限定して、メタボリック症候群構成関連因子である肥満、高血圧、糖尿病とその合併形態が、どのように子宮体がん発症の危険に関わっているか、に焦点を当てた検討を行った。多変量解析では、肥満、高血圧、糖尿病の3者はいずれも独立した子宮体がんの発症危険因子であった。肥満、糖尿病、高血圧の何れかをいくつ合併しているかと子宮体がん発症危険率の比較では、何も合併していない症例に比べて、何れか一つをもっているものの発症危険率は2.61倍、何れか二つ以上を合併しているものの発症危険率は7.60倍であった。肥満、糖尿病、高血圧は単独でもリスク因子として重要であるが、複数を合併した場合は、さらに危険率が上昇することが今回、本邦では初めて明らかとなった。メタボリックシンドロームの観点からの検証は、子宮体がん発症危険群の選別に有用な可能性が高い。今後、子宮体がん検診での効率的なハイリスク群の選定、精度向上にもつながると考えられた。
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