悪性腺腫は、非常に稀な粘液性腺癌であるが、非常に分化度が高いために診断に苦慮する疾患であるとともに、不良でLKB1遺伝子の関与が示唆されている。我々は、胃幽門腺型の粘液を産生する腺癌は悪性腺腫以外にも存在し、悪性腺腫を含めたこれらの腫瘍は、通常の内頸部型粘液性腺癌に比して予後不良であること、HPV非依存性の発癌が関与している可能性が高いことを示した。この2年間においてもこのような腫瘍に対する報告は増えつつある。 このような背景をもとに、悪性腺腫のみならず胃幽門腺型の形質を有する腺癌の発癌にはLKB1遺伝子変異が関与しているものと推察し、ノックアウトマウスを用いた解析をおこなうことで、LKB1遺伝子の子宮頸部腺癌発癌への関与を明らかにすることを目的とした。60週<の雌性LKB1遺伝子(+/-)マウス4匹中1匹において、子宮頸部に胃幽門腺型の粘液を産生する内頸部型粘液性腺癌が確認された予備実験をもとに開始し、雌性LKB1遺伝子(+/-)マウスとLKB1遺伝子野生型(+/+)姉妹マウスを繁殖させ、順次、採取した組織より病理組織標本を作製しつつある。浸潤の明確でない腺腫様所見を呈するものもあり、今後、これらと癌の発生頻度などについてを病理形態学的に解析するとともに、LKB1およびLKB1関連分子を分子生物学的手法により解析する予定である。 HPVワクチン導入後のHPV非依存性子宮頸癌への対応は、重要な課題である、特に、日本では子宮頸部腺癌におけるHPV感染率が低い可能性が指摘されており、その発癌メカニズムの解明と治療開発につなげたい。
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