研究課題
基盤研究(C)
これまで、子宮頸癌発癌には、HPV感染が重要な役割を果たしていることが報告されてきた。さらに、病変の進展には、検出されるHPVの型およびHLA classIIの違いが関係していることも報告されている。本研究では、エピジェネティクな変化という観点から、子宮頸部病変の進展のリスクを検索することを目的とした。子宮頸癌における癌抑制遺伝子であるレチノイン酸レセプターβ2(RARβ2)の発現低下の機構を明らかにするため、子宮頸癌細胞株および子宮頸癌組織におけるRARβ2の発現および同遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化およびヒストン修飾の状態を解析した。その結果、浸潤子宮頸癌組織および頸癌細胞株では、DNAのメチル化により、RARβ2のプロモーター領域の発現低下が高頻度に認められた。ほとんどのRARβ2陰性の頸癌ではメチル化が認められたが、メチル化が見られないにもかかわらずRARβ2の発現低下が見られる一群が観察された。こうしたメチル化が起こっていないRARβ2陰性の頸癌では、プロモーター領域のヒストンの修飾が観察された。こうした頸癌では、ヒストンの脱アセチル化阻害剤を作用させることによりRARβ2の発現が再活性化した。加えて、メチル化も起こっている頸癌もあるが、こうした頸癌のRARβ2発現を再活性化するために、DNAの脱メチル化剤は有効であったが、ヒストンの脱アセチル化阻害剤は無効であった。結論として、RARβ2の発現低下には、DNA のメチル化およびヒストンの修飾といった2つの主要なエピジェネティクな経路が考えられる。HPVDNAの存在とRARβ2発現との関係をみると、HPV陰性の子宮頸癌細胞株では、すべてRARβ2の発現がみられ、その癌化過程にRARβ2のエピジェネティクな変化が関係していない可能性が示唆された。
すべて 2010 2009 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
International Journal of Cancer in press
J Obstet Gynecol Res 36
ページ: 336-343
Journal of Biochemistry 146
ページ: 771-774
Gynecologic Oncology 108
ページ: 326-331
CANCER Letters 247
ページ: 318-327